COLUMN 社長コラム 2022.08.11

微力だが、無力ではない

8月1日現在、甑島列島の住民基本台帳が更新されました。全国でもトップクラスで、甑島の高齢化と人口減少に歯止めが効かない状況になっています。今後20年で閉村に向かう集落があることが、現実味を帯びてきており、色々考えると言葉になりません。

人間自身もそうですが、「集落の終末期」をどう考えて過ごしていくか。局所的に移住促進や、なんやかんやと小手先のプロジェクトをやってもやっても、この国の社会構造が変わらなければ、結局は、どこかの地域の人材を奪い合っているようで、それはそれで、人財に選ばれる側になったという人材戦国時代。

人口オーナス期に突入したこの国の今後、少なくとも100年は、人口が減り続けることは決まっています。だから、いま少子高齢化をいいわけにして、自分の暮らす集落を諦めていくのであれば、あと100年は、いいわけをして生きていくことになります。

こどもの声がしないまち。若者の声がしないまち。残酷なようですが・・・静かに閉村に向かいます。

これまで、東シナ海の小さな島ブランド株式会社(=island company)、島守株式会社、ふたつの会社をこの地に創業しました。(スタッフ数、パートアルバイト含め20名弱、89%以上が30代以下で、男女比5:5、UIターン比率5:5)少子高齢時代の端境期を生き抜くのは、心の底からしんどいと思うことの連続。満足な経営は、悔しいけれど一度もできていません。島の先輩経営者たちはもちろん、世の中の経営者たちまじすげぇ。と毎日思う日々。

私たち世代の強みはといえば、戦後の焼け野が原も、高度経済成長期も知らず、あの頃は良かったと比較する時代がないということかもしれません。いまを生きる若者世代は、生まれた時から縮小していく社会を受け入れざるを得ず、静かに、時には、冷ややかに遠巻きにみつめてきました。

そうして、次の時代にやるべきことのヒントは、この右肩下がりの中にこそあることを感じています。併せて若者「ひとりひとりは、微力だが、無力ではない。」ということも。たったひとりの価値を深く知っている世代なんじゃないかとも思うのです。

働き方改革が叫ばれて久しいですが、産めよ増やせよではない時代に、集団就職もない時代に。家も、車も持たない(持てない)時代に。つまるところ、多様な価値観や生き方を認めて、たったひとりを大切にするということなんじゃないかと思いながら、自社の取り組みは、どうだろうかと振り返っていました。

20人いれば、20通りの生き方と働き方を、尊重し、会社というルールを多様に変えていかねばと、改めて思うところでした。減りゆく人口のなかで、会社経営と思っていたものは、集落の存続にかかっているとわかり、この先の集落運営に近いものがあるのだと自覚するようになりました。

集落の終末期をいかにデザインするか。それは、閉じるという選択も、閉じないという選択も、閉じていない今だから考えることができます。まだまだ、戦い方はあると、小さな会社だからこそみえている世界戦があります。

<参考値>

◎住民基本台帳/令和4年8月1日現在
◎高齢化率/令和4年4月1日現在

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里町里 1,007人(53.9%)

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上甑町中甑 377人(50.1%)
上甑町平良 189人(63.6%)
上甑町瀬上 130人(57.7%)
上甑町小島 117人(60.8%)
上甑町江石 113人(70.2%)
上甑町中野 36人(63.9%)
上甑町桑之浦 36人(80.6%)

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鹿島町藺牟田 331人(56.5%)

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下甑町長浜 599人(47.1%)
下甑町手打 563人(44.8%)
下甑町青瀬 138人(56.6%)
下甑町片野浦 117人(57.8%)
下甑町瀬々野浦 75人(68.7%)
下甑町内川内 22人(78.7%)

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上甑島 1,816人(54.6%)

中甑島 189人(63.6%)

下甑島 1,845人(58.6%)

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甑島列島

合計 3,850人(58.9%)

書いた人

山下 賢太

代表取締役

山下 賢太/ KENTA Yamashita

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