U-35 RITOLAB NEXT in 甑島列島の開催レポート
リトラボカレッジの開校式翌日は、おおむね35歳以下を対象にした次世代の離島人材の育成と交流を目的に、U-35 RITOLAB NEXT in 甑島列島にて1泊2日のフィールドワーク研修に行ってきました。「離島」というと、たくさんの課題や問題の方に着目してしまいがちですが、鹿児島離島文化経済圏＝リトラボでは、離島の「可能性」にフォーカスし、その挑戦の種と関わりしろを育てていくプラットフォームとコミュニティ形成を目指して活動しています。
今回、東シナ海の小さな島ブランド株式会社と島守株式会社を中心にフィールドワークの受け入れを実施し、これまでに取り組んできたいくつかの拠点づくり、商品開発、古民家再生事業などについての視察研修を行いました。さらには、現在向き合っている地域課題とその可能性についても互いに意見交換をしながら学びを深める1泊2日となりました。
上甑島里港で下船し、一行は、東シナ海の小さな島ブランド社が昨年5月に開業した「パンと週末食堂オソノベーカリー」へと向かいました。オソノベーカリーは、もともと武家屋敷通りにあった屋敷を移築し、およそ150年前の古民家をリノベーションした場所です。店内の家具や内装、外壁には、捨てられるはずだった多くの粗大ゴミや古材などを活用し、まだまだ使える生きた資源を再生・再活用する「巡築」という考え方を大切にしています。また、月火・金土日の焼きたてパンと週末限定のオソノカレーが人気ですが、閉店している日中の時間も集落に解放されており、高齢者サロンやヨガサークル、映画鑑賞会や夜の集会所としても利用いただいています。
その後、過去のリトラボの関連事業などにご参加してくださった島内事業者の取り組みについてもご紹介いただきました。上甑島にて主に建設業を行う株式会社ヒラミネでは、古くから甑島の生垣に植えられてきた風よけと家庭の万能薬として重宝されてきたキダチアロエに目をつけ、現在ではアロエベラの生産も開始。オーガニックなスーパフードとして注目されている冷凍アロエや、アロエをまるごと発酵させて甜菜糖で甘みを加えた「木立甘酢」など、国内をはじめシンガポールなどの海外にも出荷されているとのことでした。また、今後の課題として農作業の人材不足などについても挙げられていました。
次に、年々観光客数の増加している甑島列島において地域密着型の旅行代理店やレンタカーとんぼろ、SUPやシーカヤックなどのガイドツアーなどを実施する「こしきツアーズ株式会社」さんを尋ねて、事業内容の説明と現在、注力されている島内のユニバーサル対応のツアーなどについてもお話しいただきました。あちこち階段も多く、小さな段差や石ころの多い道など、決してバリアフリーとはいえない島の現状ですが、それでもちょっとした心がけや声かけ、補助機材の有無によって心温まる満足度の高いツアーを実現しようと動き出していました。「バリアフルだけど、ハートフル。」お出迎えから、お見送りまで、スタッフの皆さんの笑顔が素敵でした。
現在、島だけに限らず、全国各地で空き家の問題が多発しています。ここ甑島でも４・５軒に１軒は、空き家というような印象があるのですが、昨年11月に創業した島守株式会社では、この問題を地域の課題として捉えるだけでなく、未来との関わりしろという場の再定義をして不動産の保守管理・運用の企画まで行っています。それ以外にも、移住や定住促進のためのUIターンなどの人材の窓口を作っていくトライアルステイの事業なども実施し、住みたい家と、仕事と、人材のマッチングにも取り組んでいます。
甑島の観光資源でもある長目の浜や、夜萩円山公園、瀬尾観音三滝、手打浜なども散策しながら、様々なプロジェクトの思考やエリアへの向き合い方、地域ビジョンについても理解を深めました。
そして、夜には福居一大会甑島ごったん部の方々が、入船（来島記念）のお祝いに駆けつけてくださり、RITOLAB NEXTの夜も盛り上げてくださいました。こうした地元の郷土芸能の取り組みもおよそ10年前から復興が始まっている甑島。本当に、ありがとうございました。
今後も「挑戦が生まれる海域をつくる、」鹿児島離島文化経済圏を応援・共創してくださる法人会員（リトラボパートナー）、個人会員（リトラボサポーター）も、以下のURLにて引き続き募集しています。よろしくお願いします。
