REPORT お知らせ 2025.08.08

「誰かの土を耕す」をはじめよう|インターン2025 レポート#02

こんにちは!island companyインターン生の相良千恵です!

早いもので、3か月間のインターンも残り半分。スイカで埋め尽くされた冷蔵庫を開け、この風景を見れるのも最後かもしれないと、お盆に向けて気合が入る毎日です。

見えないものを見ようとする力

最近は、宿の仕事をメインに働いています。月曜日や金曜日は、山下商店で豆腐製造後の片づけを行い、そのままFUJIYA HOSTELへ。宿でも水回りや部屋の清掃、ベッドメイキングを行います。気づけばお客さんと会話することもなく清掃の業務で一日が終わることもあります。

私は掃除や細かい作業が得意ではないのもあり、仕事の中でお客さんとの直接的なつながりが感じられず、心がその場から離れていることが増えていきました。そんな日々を過ごす中で、これではいけないと自分会議をした時に感じたことがあります。それは、お客さんからは顔が見えない仕事にこそ、自ら楽しさを創造することを忘れてはいけないということ。

ただ掃除をしているだけではお客さんのことはもちろん見えません。しかし、見ようとすることはできます。初めて甑島に来るのか、何度も宿泊したことがあるのか、お仕事で来るのか、家族旅行なのか、何泊するのか。顔を合わせなくてもお客さんのことを考え、どうしたら一人一人に島での時間を味わってもらえるかを考えながら宿で働くと、仕事に対する姿勢も、生まれる感情も変化していきました。

心の余裕がないと、まだまだ単純作業のようになってしまうこともあります。そういう時は、きれいな空を見上げて、自分が大切にしたいことに立ち返っていきたいです。

教育と畑作業

島の教育にも興味があり、島内で実施される教育関連のイベントのお手伝いもさせていただいています。

<講師>中能孝則 氏:甑島出身。NPO法人森のようちえん全国ネットワーク連盟 幹事。著者に『森のようちえん冒険学校ー自然体験で生きる貪欲さと賢さをー』『人が繋がる居場所のつくり方』『キャンプで使えるアウトドアゲーム集』

上甑老人福祉センターで実施されたリスクマネジメント講習でも「見えないものを見えるようにする直感力」に関するお話がありました。自然の中で活動する時に発生するハザード(危険)とアフォーダンス(子どもにとって価値となる経験)は紙一重。ヒヤリハット(重大な事故につながりうる出来事)と、アフォーダンスの目に見えない境目を、直感力で判断できるように鍛え、チームの中で共有することが大切という内容でした。他にもリスクマネジメントについて様々なお話がありましたが、講演を聞いていて、「教育とは畑作業なのかもしれない」とふと思いました。

作物を育てる時に、過剰に水をあげると根が腐ってしまうように、大人が教えすぎる、介入しすぎる、と子どもは成長しなくなってしまう。だからと言って、水を与えずに放置をしていても枯れてしまうように、子どももやる気がなくなってしまうかもしれない。子どもたちと関わる上で必要なのは、子どもたちが自ら考え、自ら行動し、自分の力でできるところまで見守り続けることであると改めて思いました。

そして、その前提にあるのは、一緒に土壌を耕しているかどうか。

子どもたちが夏休みに入り、何か一つでも習慣化できたら、という想いで「me time」 というものを始めました。今自分が頑張ってみたいこと、学びたいことをみんながそれぞれ取り組むという時間で、来たい時に来てね~という感じで、ゆる~く会社のみんなとやっています。

そこで、小学5年生の子どもから、「英語をやってみたい」という声がありました。私が塾講師としてバイトをしていた経験があることから、一緒に中学英語の基礎から始めてみることに。すると、初回の次の日、「今日はme timeある?」と楽しみそうに聞いてくる子どもたちの姿が。それを見て、自分の方がわくわくしていることに気が付きます。

島には塾がなく、学校以外で受験英語や英会話を学ぶ手段は、本土に出るかオンラインで講座を受けるしかありません。島だから挑戦したいのに挑戦できないこと、諦めなければならないことをつくって欲しくない。だから、「英語をやりたい」という子どもに対して、見える世界を少し広げることが出来たのかもしれないという感覚が新鮮で、嬉しく感じました。私たちにできるのは、「これが好き」「これをやってみたい」「これにわくわくする」というエネルギーを放出できる環境(土壌)を作ることかもしれないと思っています。

私自身が教育するヒトというより応援するヒトになりたいということ。そのために、子どもたちが、「自分の人生、自分が主役」だと胸を張って生きれるための土壌づくりをし、その後の姿をじっと見守ること。これが自分の大切にしたい教育の在り方だ、と深く考えさせられました。

island company に人が集まる理由

会社が、甑島が持っている何かとは、何なのか。この問いに向き合うために、スタッフの甑島に来た背景や、自分が何を求めて甑島に来たのか深堀ってみました。

今、自分の中にある1つの答えは、実際に目で確かめたい、と自然と心惹かれるものが存在することです。

ホームページの言葉選びや、写真、ケンタさんのジャーナルなど、感情が揺さぶられるような仕掛けがたくさん隠されているのかもしれません。全てを伝えようとせず、敢えて、「分からない」というマイナス要素をつくること。これが、人が集まる1つの理由なのではないかと考えています。

日常の風景

そして、私事ですが、7月26日に23歳の誕生日を迎えました。

前日の夜はお隣のご家族に夏鍋をふるまって頂いたり、当日の朝は焼き立てパン、夜は手作りのピザやケーキを会社のみなさんにごちそうになりました。身近にいるみんなが、自分の時間を使ってご飯を作ってくれること、同じ時間を共有してくれること、おめでとうと顔を見て伝えてくれることがどれだけ嬉しいか!だけど、よく考えたら自分の家族も手作りご飯(ケーキはもちろんお店のですが)で誕生日を祝ってくれていたな、と思いました。

島に来て、今まで当たり前になっていたことに対して、再び喜びを感じるようになったからこそ、感謝を伝えたくなる人がたくさん頭に浮かびます。母から来た「お誕生日おめでとう」のメッセージに、「いつも美味しいご飯をありがとう」という返信をして始まった23歳。まだまだ甑島で新しい自分を磨き続けていきます。

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