REPORT お知らせ 2025.07.18

「いつもより1つ少ない」がある暮らし|インターン2025 レポート#01

はじめまして!6月から9月初旬までの約3カ月、island company インターン生の相良千恵(さがらちえ)と申します。

今年の3月に大学を卒業し、10月からは放課後等デイサービスの児童指導員として働きます。この10月入社が決まった時に、半年間をどう過ごしたいのか考え、以前知り合いの方からご紹介を頂いていた island company の存在をふと思いだしました。

ホームページや記事を拝見するなかで、甑島に住む方々の写真や綴られた言葉に心が躍り、甑島に住むヒトの生き方を知りたい、それをたくさんの子供たちに伝えたい、地域を支える人やもの、場所について学びたいと感じ、インターンに応募させていただいたのが始まりです。

人とつながりながら働くこと

インターン開始から一ヶ月。山下商店をメインに、コシキテラスや、オソノベーカリーにFUJIYAFOSTEL、niclassと拠点を移しながらお仕事を経験させていただきました。正直、最初は業務を正しく行い、覚えることに精一杯の日々。今振り返ってみると、目の前にいるお客さんやご宿泊いただくお客さんのことを心の片隅においてしまっていたなと感じ、自分のありたい姿を体現できていなかったことを悔しく思います。

しかし、数日前にコシキテラスでランチをしたお客さんから、帰り際に「今きびなごを食べて、やっと甑島に帰ってきた気分になった」とおっしゃっていただきました。その後、以前お仕事の関係で甑島に来ていて、今回久しぶりに島に帰ってきたこと、その時にホテルで炭火で焼いて食べたきびなごが忘れられなかったけど、今はそのホテルで食べれなくなっていたことを話してくれました。コシキテラスのきびなご漬け丼を食べて、その頃にタイムスリップしたような懐かしい気持ちを味わってもらうことができたのが、とても嬉しく、はじめて心と心でお客様とつながることができたと思える瞬間でした。

island compmay は肩書や職業に関係なく「あなただから」で選ばれる人たちが集まっています。それは人とのつながりを仕事の中でも意識しているからこそ。

ケンタさんから「オソノベーカリーも山下商店もサービス全部が福祉であると考えている」とおっしゃっていただいたことがあります。

「いつもはパンも買っていくのに、今日は豆腐だけだな」
「いつもより1つ少ないな」

と購入いただくものや個数がお客さんの変化に気づくきっかけになる。福祉とは専門的な仕事であるとは限らず、日常からアプローチできることが多くあると感じました。

観光やお仕事で来島した方、地域に住んでる方、一緒に働くみんな、関わる一人ひとりに何かのきっかけを創れるよう、働いていきたいです。

今、何ができるのか

7月に入って、甑島に来る前から自分が関わりたいと思っていた地域の教育事業に少しずつ関わっています。ときどき、学童のお手伝いする日もあります。

甑島は令和2年の統計で、人口は3983人、うち15歳未満の子どもの数は355人。特別支援学級は7学級ありますが、放課後デイサービス、児童発達支援施設はありません。そのため、本土の施設に通ったり、保育所等訪問を月1回程度利用することがほとんどです。今年度からは市の事業により、訪問支援員の交通費に係る保護者負担はなくなりましたが、今までは保護者負担でした。

私は実際に島に来るまで、療育施設がないのであれば、つくることで解決できると考えていました。 しかし、なければつくればいい、というわけではないことを今は強く感じています。

ケンタさんから、地域に学童ができる2013年頃までは、地域のおじいちゃんおばあちゃんが面倒を見ていたことをお聞きして、今まで存在しなかったのには理由があるということ再確認しました。これまでの歴史的背景に目を向けながら、甑島だからこその教育をデザインすることが大切であると気付きました。

療育に関しても、オンラインでのサポートを実施したり、保護者同士の交流や情報交換ができる環境を整えたり、講習会などを開催して地域全体の理解を深めることなど、施設を設立するまでに必要な小さなステップが多く残っています。

ないものをつくろうとするだけでなく、どんな子どもでも、島で育ちながら自分らしさを見つけられるような、島ならではの環境を活かした教育現場について考えていきたいです。

暮らしを問う

プライベートの時間では、自分の心の満たし方が変化してきているように感じます。東京にいる時は、お腹が空いたら歩いてコンビニに行くし、気になる映画があれば映画館で観て、バイトが終わったら家に直行、気が付けば家は寝るための場所になっていました。

しかし、最近は、毎朝、仕事前に豆からコーヒーを淹れたり、仕事終わりに近所の子どもたちと海へ入ったり、誰かのために、自分のために料理をしたり、港まで歩いて星を見に行ったり。

普段であれば「時間がないから」「疲れているから」など理由をつけてやらないことでも、「ちょっとやってみよう」と思える環境があることで実践し、暮らしが豊かに彩られています。

一方で、自分が見つけられていないだけで、今までの生活の中にも違った豊かさが潜んでいるとも思うようになりました。自分の生活を客観的に見ることで、東京での暮らしが好きな自分も、島での暮らしが好きな自分もいることを認められるようになり、これからどんな場所で、どんな環境で生きていきたいかが少しずつ明確になっているような気がします。

島で流れる時間はゆったりしているように見えて、1か月、あっという間に過ぎていきました。

残り2カ月、自分の心に素直に、1日1日を大切にシマライフを楽しんでいきます。

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