【視察レポート】うきはの宝に行ってきました

こんにちは!island company.インターン生の岡田栞那です。
先日、福岡県うきは市を中心に、“ばあちゃんビジネス”で全国から注目を集める「株式会社うきはの宝」へ視察に訪れました。
今回の目的は、下甑島瀬々野浦集落の地域づくりのヒントを得ること。
高齢化率60%を超える瀬々野浦集落をどのように再生することができるのか?会社としてだけではなく、私個人としても瀬々野浦に強い可能性を感じているからこそ考えていることでした。
うきは市に到着すると、株式会社うきはの宝 代表取締役の大熊さんが迎えてくださいました。
うきはの宝は、75歳以上のばあちゃんたちが働く会社です。
“ばあちゃんたち高齢者を保護するだけでなく活躍してもらい、「生きがい」と「収入」をつくりたい”
そう語る大熊さんの原点は、社会貢献でもビジネスへの興味でもなく、ばあちゃんへの恩返しだそう。
大きな事故で長期にわたる入院をしていた際に出会った認知症のおばあちゃんに心を救われ、何かばあちゃんたちに恩返しをしたいと思い、今のばあちゃんビジネスを始めたと話してくださいました。
綺麗ごとで飾ることなく、自分のエゴだと言い切る大熊さんのまっすぐさが印象に残っています。
メディアにも数多く取り上げられ、一見上手くいっていることばかりかと思いつつ、苦戦していることもオープンに話してくださいました。
それは、じいちゃんとの関わり。
大熊さんが男性ということもあり、じいちゃんたちが年下の大熊さんからの指示を聞き入れることが受け入れ難く、相互が気持ちのいい活躍の場をつくることが難しい。これからは『地域を守る』役割を担ってもらうことで可能性を探っていきたい。
そう仰っていました。ばあちゃんも然り、
“お恵みではなく、頼ることで巻き込む”
ことを大切にしているのだと言います。これはばあちゃん・じいちゃんだけではなく、地域で動いていく際、関わる人それぞれの出番を作っていくことで、お互いに気持ちよく協働できるのだと感じました。
そして、私が何より印象に残っているのは、はるばる他の地区から私たちのためにお昼ご飯を作りに来て下さったみずこさん。
30代の頃にタイプライターの事業で起業した経験のあるみずこさんは、何かやりたい、そう思っていた時に大熊さんと出会い、うきはの宝にジョイン。今では、ばあちゃんたちの中でリーダー的存在だと言います。
どうして起業しようと思ったのかお聞きすると、
“自分でやった方がおもしろいじゃない”
そんな答えが返ってきました。今よりもずっと女性の社会進出が難しかったであろう時代に、自分の手でやりたいことを実現されたみずこさんは本当にかっこよく見えました。
そういった様々な経験や知恵を重ねてきたばあちゃんたちが、「高齢者だから」という理由でできることが制限され、出番がなくなっていくことがどれだけもったいないことか、みずこさんが身をもって教えてくださいました。
大熊さんが仰っていた「“老害”や“社会のお荷物”という価値観をひっくり返したい」という想いは、私の「社会の中で価値が低いとされているあらゆるものの価値を発掘し、価値観をひっくり返したい」という通底する原動力に重なる部分がありました。
私はまだ瀬々野浦に住む方々と深い関係値を築くことはできていませんが、瀬々野浦でもばあちゃん・じいちゃんの持つ力を最大限生かすことができたら、集落の未来は大きく変わるのだろうと思います。
“フラットに、そして過剰に保護しない。頼って任せる”
地域の中で、年代や考え方の違う人々を巻き込んでいくにはどのようなことが大切なのか、大熊さんの姿勢や人柄から学ぶことが沢山ありました。
どんな場所でも、そこに暮らす人々が活き活きと活躍していること。
それが集落にとって何よりのエネルギーになるはずです。
岡田 栞那 プロフィール
愛媛県の沖合に浮かぶ人口約2000人の島「中島」の有機農家のもとに生まれ育ち、外国人技能実習生の受け入れに関わる中で現状の体制に課題感を持つ。現在は、「島全体として技能実習生を受け入れ、彼らを巻き込んだまちづくりの事業を立ち上げたい」というのが目標。2024年春の鹿児島離島文化経済圏主催の「離島を体感するかご島インターン」をきっかけに甑島へ。island companyが描いている未来を一緒に創りたい、もっとこの人たちが考えていることを知りたいと思い、2024年6月よりインターンをスタート。