island company インターン奮闘記 #11
今週は、種子島への出張に同行。初の甑島以外の島への上陸で、飛行機に乗る前からとてもわくわくしていました。
一言に“島”と言っても、種子島には本土と同じチェーン店やコンビニやドラッグストアなどもあり、「私は今島にいるのか?」と思うほど。一方で、郊外に車を走らせると、一面に広がるさとうきび畑やなだらかな山、海へと向かう真っ直ぐな一本道。甑島や私の生まれ育った中島とは違い、南国を感じる種子島。去年訪れたガーナにも近しいものを感じ、なんだか嬉しくなりました。
種子島から見える馬毛島では、自衛隊基地の建設が進んでいます。作業員が滞在するためのコンテナハウスが種子島のあちこちにものすごい勢いで建設されていたり、建設に関わる仕事の賃金が大幅に上がり、人材が流出したりしているという話を聞きました。国の大きな動きに、小さき者たちが翻弄され、そのうねりにのまれている様子を目の当たりにしたような気持ちです。
今回の出張では、かごしま島嶼ファンド(ローカルコミュニティ財団)設立に向けたヒアリングとして、種子島で地域づくりに携わる4名の方にお話を伺いました。
種子島の女性が自分の人生を自分で選択できるように
1人目は、うみの陽助産院の亜津美さん。
最初から大儀があって計画的に始めたというよりも、事業を進めていく中で着実に必要だと思うことを積み上げている印象を受けました。島のお産事情を知るために産婦人科で働いたり、行政の人と繋がるために健康診断の仕事を引き受けたり、高いお金を払わなくてもお母さんが気軽にお産や子育ての相談ができるようにビーチクリーンをやっていたり、有資格者じゃなくても支援者になれるように自分の知見をオンライン講座を通してシェアしたり。お産は地域が続いていくために必要不可欠なものだからこそ、助産師さんやお産に関わる仕事は絶対に必要だし、素敵だなぁとしみじみ感じました。
「資格ができたからこそ、それは専門者の役割だからという認識が生まれてしまう」というケンタさんの言葉が印象に残っていて、役割や資格、システムを作ることで社会はスムーズに回るかもしれないけれど、分断が生まれてしまうきっかけにもなり、自分ゴトになる範囲がどんどん狭くなっていきます。各々の役割が緩やかに重なっている地域は、何かあった時の地域としてのサバイバル力や団結力がものすごいはずです。
私もゆくゆく島で子供を産み、育てていく可能性がある一人だからこそ、「島の女性が自分の人生を自分で選択できるようになってほしい」という亜津美さんの願いにはものすごく共感しました。
古い製法を新しい価値として守り継ぐ
2人目は、福島県から移住した浜田黒糖生産協同組合の矢吹さん。「やりがいがある島ならではの仕事がしたかった」と話す矢吹さんは、さとうきびを有機栽培で育てながら伝統製法の三段登り窯で黒糖作りをしています。
かつて三段登り窯で黒糖を作っている200軒あったそうですが、現在は浜田黒糖生産協同組合ともう1箇所の2軒のみ。島のローカルルールで作業賃が決まっていることや、ひとつの業種のみで通年雇用することが難しいという話は、私の島でも全く同じです。島の中で産業をまたいでワークシェアをしたり、季節ごとに他地域とワークシェアができたら、と今後の展望も話してくださいました。
私もゆくゆく故郷の中島に戻った時、どの地域も抱えている人手不足の課題を解消できるようなモデルがつくれたらいいなと思いますし、そこに私の役割を作り出せるのかもしれないと思っています。
他にも、モンテッソーリ教育をベースに子どもたちが成功と失敗ができるアトリエを1年前に始めた浦邊あゆみさんや、ホテルやジェラート様々な事業を展開している株式会社HOPEの風間辰広さん、また今回のヒアリングのアテンドをしてくださった一般社団法人のっちーよの山田文香さんにもお話をお伺いしました。
感覚を大切に、小さくはじめて着実に積み重ねる
みなさんしなやかで身軽で“サーファー“のような方ばかりでした。(実際に波乗りを楽しんでいる方も多かった印象です!)最初から大きな目標や大儀がなくても、フットワーク軽くすぐに行動に移し、五感やタイミングを大切にしている魅力的な皆さんに出会い、私もそんな人になりたいなと。
今回の種子島出張は台風が直撃し、後半は籠城生活になりましたが、それも含めて私にとっては刺激と学びの多い一週間になりました。
さとうきび、サーフィン、宇宙センター、様々な顔を持つ種子島という地で、一歩一歩挑戦しているプレイヤーの皆さんから、感覚を大切にしながら小さくはじめて着実に積み重ねていくことの大切さを改めて学びました。
来週は沖永良部島へ。様々な人やシマに出会う中で、吸収しながらも自分自身をアップデートしていきます!
岡田 栞那 プロフィール
愛媛県の沖合に浮かぶ人口約2000人の島「中島」の有機農家のもとに生まれ育ち、外国人技能実習生の受け入れに関わる中で現状の体制に課題感を持つ。現在は、「島全体として技能実習生を受け入れ、彼らを巻き込んだまちづくりの事業を立ち上げたい」というのが目標。2024年春の鹿児島離島文化経済圏主催の「離島を体感するかご島インターン」をきっかけに甑島へ。island companyが描いている未来を一緒に創りたい、もっとこの人たちが考えていることを知りたいと思い、2024年6月より4ヶ月のインターンをスタート。