お知らせ REPORT 2024.08.18

island company インターン奮闘記 #09

お盆を迎えた甑島にはたくさんの人が帰ってきていています。今週は、里の夏祭りや伝統行事も開催され、あちこちが賑わっています。

小さなコミュニティなので、辿ると皆さんどこかで血が繋がっていて、島全体が一つの大きな家族のように感じました。

暑い日には、島中のスーパーからアイスがなくなります。

まちではあり得ないことだけれど、私の地元の島でも、夜にアイスが食べたいと思っても買いに行く所なんてなかったなぁと懐かしくなりました。不便と言えば不便だけれど、みんながアイスを食べたくなるほど暑いんだなと夏を感じます。

お盆の賑わいやスーパーのアイスの在庫。

そんな島の日常の中の小さな変化から、季節を感じます。

 

世界共通の「食」が繋ぐ力

ある日家の近くを歩いていたら、家の庭でBBQをしていた方々に声を掛けて頂いて、お邪魔させて頂くことに。

甑島に来て初めてお酒の席以外で島の人とゆっくりお話しする時間になりました。

15歳で島立ちをして以来、福岡にお住まいだという方が娘さんとお孫さんを連れて帰省されているとのことでした。かつては帰省するたびに、家にたくさんの人が集まって宴会をしていたと少し寂しそうに教えてくれました。

「島には何もないから」

そう言いながらもこの島を悲観しているのではなく、島への愛着は間違いなくあって、年に一度の帰省でも、甑島はこの方にとって帰ってこられる大切な場所なんだなと感じました。

昨年、ガーナのアマンフロム村を訪れた時に、村の中を歩いていると、外でご飯を作っている家族に声を掛けられて、ご飯をご馳走になったことをふと思い出しました。

見ず知らずの人でも受け入れてくれるローカルのオープンさと食卓を囲めばぐっと距離が縮まる食の力は世界共通です。

 

細く長く、地域行事を守っていく

お盆には、「さっこら踊り」を見学。江戸時代中期以降に農民の踊りとして踊られてきたもので、盆踊りとして初盆の家々で踊り、慰霊と供養をしてまわっていたそうです。今年は、保存会のメンバーの初盆ということもあり、お盆に奉納がありました。

里地区では雨乞いとしても踊る風習があります。さっこら踊りのある日には、本当に雨が降ると聞いていましたが、実際に今回も、今にも雨が降り出しそうな空模様でした。

保存会には60〜70代の方々と30〜40代の方が所属しており、綿々と次世代へと引き継がれている様子を目の当たりにしました。

また、五穀豊穣を祈る里地区の伝統行事「かずらたて」というお祭りもありました。山から採ってきた葛(かずら)をつなぎ合わせ作った大縄を大蛇に見立て、大漁旗を掲げ、ほら貝や太鼓のリズムに合わせて集落を練り歩きます。

私は、この目で見ることはできませんでしたが、今年はコロナ渦で中止されていたお祭りが4年振りに開催されたそうです。コロナ以前は、5つある集落それぞれで大蛇を作っていたそうですが、人手不足もあり、全集落が集まり、ひとつの大蛇を作っての開催となりました。

毎年できなくても、人手不足でも、それでも細く長く続いている行事には、大きな価値があると思います。地域の文化を間近で見ることができ、貴重な経験になりました。

 

まずは自分が、島で暮らし島を楽しむ一番の当事者になる

夏休みに入り、せかせかと過ぎていく日々の中で、家とコシキテラスの往復になっていることにふと気がつきました。

久しぶりに東の浜でボーっとしたり、水平線を眺めながらアイスを食べたり、朝早く起きて朝日を見に行ったり、こんな時間は久しぶりで、心穏やかになれる場所がこんな近くにあるのに、私はすごくもったいないことをしていたなぁと。

最近は、自分の役割ややりたいこと、理想と日々の仕事のギャップなどを悶々と考えてばかりいたけれど、ふっと力を抜いて、自分が島で暮らす当事者としてもっと島での暮らしを楽しんで豊かさを実感することがまずは何より大事なんじゃないかと感じました。

その気づきもあってか、最近自分の中で連鎖していた負のエネルギーが少しずつ浄化されて、プラスのエネルギーが少しずつ戻ってきた気がします。

来週には、インターンの中間発表が控えています。今までのインターンで感じたこと、経験したこと、考えたことを改めて自分の中で再構築し、そこから生まれてきたワクワクの種と自分の中にあるプラスなエネルギーを大切に、残りのインターン期間をクリエイティブな時間にしたいです。

 

岡田 栞那 プロフィール
愛媛県の沖合に浮かぶ人口約2000人の島「中島」の有機農家のもとに生まれ育ち、外国人技能実習生の受け入れに関わる中で現状の体制に課題感を持つ。現在は、「島全体として技能実習生を受け入れ、彼らを巻き込んだまちづくりの事業を立ち上げたい」というのが目標。2024年春の鹿児島離島文化経済圏主催の「離島を体感するかご島インターン」をきっかけに甑島へ。island companyが描いている未来を一緒に創りたい、もっとこの人たちが考えていることを知りたいと思い、2024年6月より4ヶ月のインターンをスタート。

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