三島村の未来へ繋がる、大名筍
この春、山下商店オンラインショップでは三島村の大名筍をお取り扱いすることになりました。
大名筍の最大の特徴はアク抜きが要らないということ。通常、筍はアク抜きをしないと苦くて食べることができません。しかし大名筍はアクが少なく、アク抜きせずに筍本来のシャキシャキとした歯ごたえや風味を味わえます。
そんな大名筍を島の産業として発展させたい。そんな想いで活動する「NPO法人みしまですよ」の代表・山﨑晋作さんに、三島村と大名筍について話を伺いました。
竹の島と、そこに暮らす人々
竹島、硫黄島、黒島の3つの島で構成された、鹿児島南部の離島・三島村。「NPO法人みしまですよ」は、三島村のなかでも竹島でとれた大名筍を販売しています。
晋作さんに竹島の空撮写真を見せてもらうと、名前の通り竹だらけ!濃い緑の部分は木ですが、それ以外の黄緑色の部分はすべて竹だというから驚きです。
この無限に広がる竹林をかき分け、筍を掘りに行くのは有志の島民の皆さん。さぞかし大人数で……と思ったら、主要メンバーはたった5〜6人だそう。しかし竹島の人口は50人。島民の1/10が参加していると思えば、なかなかの大人数です。
メンバーの中心は70代のおばちゃんたち。あとは30代前後の男性が数人。
筍を掘って出荷することで島の産業を守るだけでなく、仕事の休憩時間のおしゃべりなどを通じて、世代を越えた貴重な交流の時間にもなっているそうです。
筍を島の誇りに
竹に恵まれてきた竹島ですが、竹を取り巻く環境は大きく変化してきました。
かつては建築材料として竹が島外に出荷されていましたが、需要の変化に伴い、今度は食料としての筍が一大産業に。最盛期は1シーズンで70万円ほど稼いだ世帯もあったほどで、みんな競うように筍を掘りに行くくらい盛んでした。
しかし年々、筍をとる人や竹林を整備する人が減り、大きく育った竹ばかりが増え、新しく生えてくる筍の数が減る……という負のスパイラルに陥っています。5年ほど前までは年間10トンほど収穫できていましたが、昨年は5トンまで半減しています。
そして同時に、人口の減少も進んでいます。10年前には80人以上いた島民の数は、50人にまで減りました。
「NPO法人みしまですよ」は、大名筍が自慢できる存在になることで島の価値を感じるきっかけの一つとなり、若い世代が帰ってきたい島づくりに繋がると考えています。筍の販路開拓や生産量増加のための整備を通じて、再び竹島の産業として成り立たせるために活動しています。
山崎家の美味しい食べ方
晋作さんに大名筍のおすすめの食べ方を聞くと、やっぱりシンプルな丸焼きが一番とのこと。
晋作さんのご家庭では、薪風呂があった頃は薪と一緒に燃やして、頃合いを見て取り出して食べていたんだそう。
「皮が全部付いたまま丸焦げになるくらいまで焼くと、個体差はあるけど皮を剥いたら焼き芋みたいな甘い香りがしてくるんです。何もつけなくても筍そのものの美味しい味が味わえます」。
薪風呂は難しくても、バーベキューでも同じように丸焼きにして味わえます。外遊びが多くなるこれからの季節にぴったりです。
焼き加減の目安は、外側全体に焦げ目がつくまで焼くこと。初めての方は細めの筍を選ぶと、火が通りやすいので失敗しづらいということです。
大名筍が収穫できるのは三島村を含むごく一部の地域のみ。三島村のなかでも5月上旬から1ヶ月ほどの期間しか収穫できず、流通できる量は限られています。
その昔、大名しか食べられなかったともいわれる希少な筍を、ぜひお楽しみください。
ご購入は山下商店オンラインショップから!