島に生きるひと #04 庵地つけあげ店

鹿児島の食卓に欠かせないさつま揚げ。

魚のすり身を油で揚げたシンプルな料理ですが、ふんわりとした食感の中からほのかな甘さが口いっぱいに広がるさつま揚げは、鹿児島では「つけあげ」と呼ばれ、世代を問わず親しまれています。

そんなつけあげを甑島でつくり続けているのが「庵地つけあげ店」の庵地優さんです。
優さんのおばあさんが、漁師であるおじいさんが獲った魚をつけあげにしたのがお店の始まり。

それから40年近く、ご家族でこの暖簾を守り続けているのです。

かつてのおばあさんのレシピに改良を加え、アジやブダイ、スケソウダラなどのすり身を独自に配合し、保存料を使わずに仕上げたオリジナルの製法。香ばしい香りが漂う調理場には、息の合った連携プレーで黙々と作業をする優さんと優さんのお母さんの姿があります。

午前6時、家族で手分けして商品の配達と早朝に漁師さんが届けてくれた魚の下準備をすることから「庵地つけあげ店」の1日は始まります。その後、すり身を合わせて練り、整形して揚げていきます。夏場の調理場はサウナ並みの熱さと、冬場は魚を裁く手も凍える寒さと闘いながらの仕事。過酷な現場ですが、優さんとお母さんの無駄のない美しい動きで、こんがりと揚がったつけあげがトレーに次々に並べられていきます。

「この仕事は漁師さんにもお客さんにも喜んでもらえるんですよ。ポリシーなんてないけれど、当たり前のことを淡々とこなしながら地元に根を張っていたいですね」と優さんは言います。

1日につくるつけあげは1200枚ほど。繁忙期の12月は寝る間もないほどの忙しさです。ハードな仕事を続けていられるのは、きっと漁師さんやお客さんの笑顔に支えられているからなのでしょう。こんがりときつね色に揚がったつけあげは、そんな庵地さんご一家の人柄を表しているような素朴でやさしい味わい。

そのままではもちろん、少し温めても揚げたてのホクホク感が蘇っておいしく召し上がれます。「庵地つけあげ店」のつけあげは、食べると誰もが笑顔になれる魔法のつけあげです。

馬場 雅巳

島に生きるひと #04

profile
庵地 優
庵地つけあげ店 代表
大学を中退した後、庵地つけあげ店の後継者として若くしてUターン。
また、自分自身も漁へ出掛けた経験を持ち、甑島の新鮮な素材の良さを知っているひとり。

お母さんのヨシエさん
お母さんのヨシエさん

黙々と作業する2人
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つけあげの匂いがたまらない
つけあげの匂いがたまらない

皆さんに喜んでもらいたい
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