赤いりんご

島の食卓

2010年06月18日

ものづくりが好きじゃなかった。とりわけ美術のチカラが備わっていたわけでもないし、いまでも正直デッサンなんてできないし、みえてるものを書くのがどうも苦手。赤いリンゴをそっくりそのまま描くことができたら100点。そういう風に、美術教育を受けてきた。いまのこどもたちもそうだ。

でも、美しさの答えはひとつでなくてもいいと僕は思ってる。そのリンゴには、一年間雨の日も風の日も太陽の日も苦労をして、汗水流して、誰かの口に入ることを喜びに感じ、だれかの幸せを想像しながらつくってきた(=生きてきた)ひとたちがいるのかもしれない。

自分にとっては、それがじいちゃんとばあちゃんだった。
だから、そのひとたちを描きたいって僕は思う。その人たちがつくったリンゴを描きたいって。その物語を美しいと思う。今、スーパーにある肉も魚も野菜もリンゴも必ずひとの手のぬくもりがあって、そこに存在してる。そのぬくもりをどうしたら伝えられるんだろうかって悩んでいる。

美術の点数なら0点かもしれないけど、みえないものをみせてくれる
そんなものづくりがあってもいいんじゃないか。

ヤマシタケンタ

ヤマシタケンタ

1985年鹿児島県上甑島生まれ。JRA日本中央競馬会競馬学校を中退したのち、キビナゴ漁船の乗組員を経て京都造形芸術大学環境デザイン学科地域デザインコース専攻。故郷をもっと好きになりたくて島に帰る。東シナ海の小さな島ブランド株式会社の代表取締役兼百姓を務める。

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